Jones Presents : CATS & CARVE

2019.11.22

WORDS BY DAVE FAUSTINI / PHOTOS BY ANDREW MILLER / VIDEO BY GREG WEAVER

“イーストサイド(東海岸)”の名で知られるエリアに住む多くの人にとって、スノーボーディングと釣りには共通点があり、どちらも生きる上で大切な要素だ。私とジミー・グッドマンにとっても例外ではない。バックカントリースノーボーディング、そしてハイアルパインでの釣りとくれば、もうそれにしか目がない。毎年春が来ると、私たちはデッカいザックに1週間分の荷物を詰め込み、カーヴィングを刻む地形とキャスティングで狙う魚の居場所を求めて山へと旅をする。

今年のクルーは私とジミー、それにビリー・アンダーソン、アンドリュー・ミラー、グレッッグ・ウェイバー、そしてジョーイ・メイツが加わった。過ぎ去った冬の空気が残るエリアを暗い内からスタートし、花崗岩の壁が連なるピークの向こう側からゆっくりと太陽が昇るころ、ようやく最初の休憩をとる。今回の目的はカーヴィングとキャストではあるものの、目の前にある自然の産物に息をのむ。この旅のより一層引き立ててくれるようなおだやかな草原、高山植物、清らかな川の流れ、青い空と綿飴のような夕日、のんびりとした昼寝、そして食べきれない程のおやつ。

日差しと蚊の大群から逃れるため、4:30にキャンプを出る。太陽が昇ると、そこにはハイ・カウンティーの美しい雪原と半分氷に覆われた湖、そして真っ青な空が広がっていた。

ここ10年間の春の残雪量を考えると、今シーズンに最高のコンディションを当てるのは、ある意味“賭け”でもあった。シーズンが早過ぎると、湖は氷で閉ざされて釣りができない。逆に遅すぎてはクーロワールの雪は激しくスプーンカットされ、滑るどころではない。官界のトリップが成功するかなんて保証はなかったものの、一か八か、私たちは標高11,500フィート(3,500m)のベースキャンプを目指し、ハイクを続けた。

春の記録的な降雪により、アルパインエリアの雪解けは遅かった。7月の後半までトリップを延期したものの、待つだけの価値はあったようだ。

カリフォルニア州の魚として知られるゴールデントラウトは、様々な意味で特別な魚だ。彼らは元々このハイアルパインに点在する湖に生息していたわけではない。元々コーヒーの缶に詰められた稚魚が“運び屋”によって放流され、瞬く間にこの澄んだ水が彼らの住処となったのだ。彼らは冬の間を冷たく暗い氷の下でじっと生活し、辛抱強く春を待つ。氷が解け、春が訪れると黄色、オレンジ、そして赤に身をつつんだ美しい魚体が太陽の下に輝き、産卵の準備をする。暖かい水温、そして天敵が存在しないことから、彼らは悠々とエサをもとめて泳ぎ回る。

実にユニークな生体。特別なゴールデントラウト。

腹一杯におやつをほおばり、腕にこびりついた蚊を取り払うと、私たちは目的地へ向け歩き続けた。雲はしだいに厚くなり、気温も下がってきた。このような天候の変化は、この時期にはお決まりだ。スノーボーディングと同じように、目の前に与えられたコンディションで楽しむしかない。

キャンプ地に到着すると、そこに広がっていたのは数カ所穴の空いただけの、まだ凍ったままの湖だった。これでは肩と肩を寄せ合いながら、ギュウギュウの状態でフライをキャストしなければいけない。そんな釣りは全く理想的ではないが……。それでも、そのコンディションでなんとか釣りを楽しむ。それはタイトなクーロワールを、大人数で滑るのと似ている。

ジミー・グッドマン。滑る前に、まずはキャスト。

このトリップをどう過ごすか?その答えを、私たちは母なる大自然に任せることにした。太陽が昇れば滑り、雨が降ればテントの中でチルする。釣りが出来そうな場所を見つけたら、釣り糸を垂らす。それはシンプルな生き方であり、最高の過ごし方だった。

湖畔で釣りを楽しんだ後、雪のタイミングを見計らって狙ったラインを目指す。どうやら、パーフェクトなコーンスノーが待っているようだ。

天気とコンディションのタイミングが合えば、今回の目的である13,000フィート(3,900m)の稜線を目指す。5月から7月までは、そのクーロワールを目視することは困難を極める。日差しは暖かく、雪は柔らかい。しかも、ターンの先にはゴールデントラウトが待っている。最初のドロップはジミー。彼に続いて、それぞれがパーフェクトなシエラのクーロワールを、フライロッドをデポしてある湖畔へと一気にドロップインしていく。これぞ、文字通りカーヴィングとキャスティングがリンクし、パッションがそのままバトンタッチされる瞬間だ。

スムーズで滑らかなコーンスノー。夏のど真ん中に、これ以上の雪はないだろう。デイブ・ファウスティーニが最高のフローを見つけた瞬間。

その夜、地平線に太陽が沈むと、空の色は昼間に釣り上げたトラウトの美しさを思い起こさせる。

夕暮れのエンターテイメントを楽しむクルー。“季節や遊びに関係無く、山で仲間と過ごす時間はいつだって人生最大の喜びだ。” – ジミー・グッドマン
重たいザックを背負ったロングハイク。その日の終わりにテントで過ごす時間は格別。その日一日を振り返るデイブ・ファウスティーニ。