THE BIG ONE : フルムービー&フォトギャラリー

2020.05.6

2019年5月、ニック・ラッセル、フォレスト・シアラー、ダニー・デイビス、ハリー・カーニー、ジェリー・マーク、ナサニエル・マーフィー、クラーク・ヘナリー、プロサーファーであるイアン・ウォルシュは、デナリのベースキャンプに集まりました。そして、十分な食糧とキャンピングギアや燃料をソリに積み込み、デナリの崇拝された山々を目指して3週間の冒険に出発したのです。人呼んで“Denali Surf Team”。パーフェクトな雪と天気、そして誰もいないテレインは彼らの冒険を喜んで迎え入れました。メンバー全てがサミットに立ち、狙っていたラインを制覇。またトリップ後半には、ブラックロックピークとデナリ北峰の小ピークのファーストディセント(初滑降)に成功しました。

ROAM Media制作のTHE BIG ONEには、Denali Surf Teamによる代表的なラインを舞台とした素晴らしいライディングが収録されています。今回はそのフルムービーを公開すると共に、彼らの冒険のフォトコレクションやメンバーからのストーリーも含めて紹介します。

The Denali Surf Team: ニック・ラッセル、フォレスト・シアラー、ダニー・デイビス、ハリー・カーニー、ジェリー・マーク、ナサニエル・マーフィー、クラーク・ヘナリー、そしてイアン・ウォルシュ。Photo:エリック・ロプカ

今回のメンバーは最高。この仲間でデナリに行けたのは本当によかった。その楽しさと盛り上がりの熱気と言ったら、もう……その場にいないと判らないかな。狙っていたサミットに到達できたけど、もしそうでなくとも最高のトリップになったと思うよ。

Forrest Shearer

長いハイクはここから始まる。タルキートナ・エアタクシーに乗り、グレイシャーで降りたら別世界。Photo:クラーク・ヘナリー

必要なキャンピングギアを全てソリで引っ張ったんだけど、まるでコメディ番組さ。重たいソリをスプリットボードで引っ張るんだから、みんな苦戦していたね。カリートナグレイシャーでセスナを降りてから、ベースキャンプまでかなり遠かったな。

Forrest Shearer

ベースキャンプまでの道のりは長く厳しい。カリートナグレイシャーでセスナを降り、これから始まるハイクに備える。Photo:クラーク・ヘナリー
標高4260mに位置するベースキャンプ。クライマー、スノーボーダー、スキーヤー、そしてレンジャーたちが寝泊りするベースThe14 Campはまるで村だ。Photo:エリック・ロプカ
標高4,260mのDenali Surf Teamベースキャンプ。
デナリのウエスト・バットレスを歩くフォレスト・シアラー。Photo:エリック・ロプカ
ナサニエル・マーフィーがメスナー・クーロワールのラインをガイドする。下に見えるのがThe 14 Campだ。Photo:クラーク・ヘナリー
デナリを眺めながら息を飲むハワイのビッグサーファー、イアン・ウォルシュ。今回の冒険は彼のコンフォートゾーンを大きく外れた。Photo:ニック・ラッセル&イアン・ウォルシュ

4,260mのベースキャンプから眺めるラインはどれも強烈だった。まるでジョーズやマーベリック、ナザレという名だたるビッグウェーブに囲まれた気分さ。

Ian Walsh

5,790mの極上コンディションでターンするハリー・カーニー。Photo:クラーク・ヘナリー
メンバーで唯一、デナリのサミッターであるジェリー・マーク。山全体が硬い氷で覆われた彼の初デナリトリップと比べると、今回のコンディションははっきりと違う。幸運にも、メンバー全員が最高のコンディションでラインを描くことができた。photo:クラーク・ヘナリー

レンジャーの話では、ここ20年でベストコンディションだったそう。18日間にわたって最高のコンディションに恵まれたよ。テントの周りに暴風壁を作る必要すらないなんて奇跡だね。高度順応した後は、クライミングもライディングも全開。お決まりの文句に聞こえるかもしれないけど、一生忘れられないトリップになったよ!

Jerry Mark

「ソフトブーツ VS ハードブーツ」クラーク・ヘナリーとジェリー・マーク、どちらも譲らない。「それにしても今日のターンは最高だったな」 photo:フォレスト・シアラー
Hovercraft Split 156を操り、オリエントエクスプレス上部を華麗にサーフするジェリー・マーク。Photo:クラーク・ヘナリー
標高6,190m、デナリ山頂に近付くハリー・カーニーとジェリー・マーク。Photo:フォレスト・シアラー
6月20日、山頂にて。バイブスは最高潮。(写真時計回りに)コロラドの名コンビ、ハリーとジェリー。マウイネイティブのイアンは即席のハワイアンフラッグで登頂を祝う。ニック・ラッセルは感無量の笑顔。

メンバー全員の山に対する順応能力や探究心が非常に印象的だった。彼らの自然との向き合い方は、ハワイの海との付き合い方に似ている。心にさまざまなことを刻み込みながら、静かに彼らを観察した。その一瞬一瞬が今回のトリップの大きな財産だよ。あそこまでお互いを信頼したチームワークは今まで経験したことがなかった。Denali Surf Teamに感謝したい!ビッグリスペクト!

Ian Walsh

デナリのサンシャインフェイスを攻めるフォレスト・シアラー。Photo:クラーク・ヘナリー

山の神様は確実に俺たちを照らしていたと思うよ。今回のようなエクスペディションでは最悪悪の事態がいつでも起こりうる。メスナー・クーロワールはトップからボトムまで理想的なパウダーに恵まれていた。1,670mの極上フォールラインを滑り、ベースキャンプへと繋ぐ。安全な島から次の島へと一気に滑り下りれば脚はパンパン。ずっと笑いっぱなしだったから、顔の筋肉もヘトヘトだったよ。

Nick Russell

18日間の山生活を終え、故郷への長い旅が始まる。現実の世界へ戻る前に、最後のビバークを楽しむメンバー。

最終日、ベースキャンプに戻ってきた夜は最高に面白かった。人生最大の偉業を成し遂げた後だってことはみんな判っていたのに、まだ実感が沸かなかったんだろうね。異常なぐらいの達成感がメンバー全体を包み込んでいたよ。何人かはスリーピングバッグに入って寝転がっていたけど、全然眠れなかった。まあ、みんな残りの酒を飲みながら語り合っていたからね。トリップ中最もデカい深呼吸をしたのもその夜だった。やがて終わりのないジョークと笑いがメンバー全員に感染して、みんなスリーピングバッグから這い出してきたけどね。デナリ登頂の達成感が現実的に体の奥深くまで染み込んできたのはしばらく経ってからさ。そしてその感覚は今日まで少しも薄らいではいないよ。

Harry Kearney

D.S.T(Denali Surf Team)メンバー全員の記念撮影。Photo:エリック・ロプカ

「ラッキーだった」の一言で片付けるのはもったいない。想像を超える喜びを与える冒険があれば、失敗に終わる旅もある。何が決め手になるのかは永遠の謎に包まれている。揺るぎない野心からくる終わりなき努力。それを表面に出し、行動に移すことが第一歩だ。経験さえ積めば、星の位置関係が魔法の様に働いて、人生最高のラインをもたらしてくれるだろう。

Nick Russell