JONES PRESENTS : WHERE LAND ENDS

2020.05.4

STORY BY FORREST SHEARER. PHOTOS BY ANDREW MILLER.

世界最高峰のスノーボーディングとサーフィン。その二つが石を投げれば届くぐらいの距離に隣接しているフィールドは地球上でも数少ない。チリはその中でも魅力的な場所だ。パーフェクトな波が山肌に打ち付ける。横乗り好きであれば楽園であり、そのお陰でチリはお決まりの夏の巡礼先になっている。アンデス山脈の美しい稜線とチリ沿岸部のブレイクを眺めながら、僕は南へと旅を続けた。コンディションさえ良ければ、ヨダレが出るようなスパインラインと最高のチューブを1週間で両方味わえる。

パウダーへの玄関を通り抜けるジェレミー・ジョーンズ

南アメリカの西海岸を南北4350kmに伸びる国、チリ。世界で最長の国だ。幅はわずか177kmでかなり細長い国でもある。アンデス山脈は国全土に連なり、隣接国との防護壁であり、国境でもある。太平洋からのストームがこの壁に衝突し山は雪に恵まれる。アンデス山脈は世界でも有数の強風地帯として知られていて、決して居心地が良いとは言えない。だからこそこの地で“当てる”ならば、星の巡り合わせで奇跡が起きるまでじっと待ち続けることだ。タイミングが全てなんだ。

海岸線から砂漠、そして水蒸気を上げ続ける火山まで、チリは知られざる自然の美が詰まっている土地だ。

このチリの冒険に加わったのはジェレミー・ジョーンズ、ニック・ラッセル、アンドリュー・ミラーの3人。まずは手始めに最高の波を狙うところから。そこで僕たちはチリのプロサーファーであるラモン・ナバロに連絡を取った。ラモンと彼の仲間たちは海も山も含めたローカルスポットに案内してくれた。先住民族であるマプチェ族のように、彼らはこの土地に深く根を張る事で見えてくる人生の意味を確立した、現代のサーフ&スノーアクティビスト達だ。彼らは、土地を開発し、自然を犠牲にして利益を得る資本家たちからこの土地を守ろうとしている。

レフトが有名な海岸線。しかし山では全く逆で、クルーは凍りついたライトへとラインナップする。

ハイラックスのピックアップを馬代わりにサンティアゴを出発した。キャンプ道具、サーフボード、そしてスノーボードギアを乗せ、行き先を決める事なく南下。スウェルと雪のコンディションを観察しながら、のんびりとした道を選んだ。深い谷の間を進んでいるとコンドルが頭上を飛び去っていった。ロス・ハビアスとビクター・ヤラのフォークロアを聴きながら、この土地の歴史を肌で感じていた。

アンデス山脈の地形を堪能するフォレスト・シアラー

南へ進めば進むほど、街やリゾートは小さくなり、人も少なくなる。同時に文化がより濃くなってきた。ローカル料理で腹を満たす喜び。しかし同時にチリ国内の大企業による森林伐採も目立っていた。海からそう離れてはいない場所で、自然の植生は著しく変化し、外来種の松やユーカリが植えられていた。それらの木材はパルプや製紙工場へと送られ、同時に地域の自然環境に大きな影響を与えていた。

チリではお決まりの冒険スタイル。雪予報が見方をしてくれなくなったら、海岸線に身を置いて再充電。
山での長い任期を終た後は、海が僕たちを温かく迎えてくれた。

海で3日ほど過ごした後、僕たちは雪を求めて再び南へと車を走らせた。海から2時間ほどしか走っていないにも関わらず、辺りは火山地帯へと姿を変えていった。火山地帯ではアローカリア(シマナンヨウスギ)が僕らを出迎えた。恐竜時代からの遺産であるアローカリアは地球上で最も古い歴史を持つ樹木の一つだ。木の上部で枝が大きく広がり、幹は太く、まるで古代のヤシの木とでも言ったほうがイメージできるかもしれない。見た目は優しい感じだが、近づくと尖った枝のせいで動物は寄り付かない。地球上で最も過酷な環境の中、アローカリアはよそ者を寄せ付けることなく、生き残ることだけに全力を注いできた。

誰もいないポイントブレイク。スノーボードトリップにしては珍しいご褒美だ。ジェレミー・ジョーンズは遠慮なくそのご褒美をいただく。

まるで昔の時代にタイムスリップしたかのようだった。僕たちは岩や雪の島の上にテントを張った。手付かずの大自然の彼方に伸びる地平線を眺めながらのライディングは生涯忘れることのない経験。それでも、ドロップインではそんなに遠くを見る必要はない。想像を絶するような最高のテレインと彫刻のようなスパインラインが目の前に広がっている。信じるにはあまりに話がうますぎるって?いや、これは運命だ!一晩で1.2mの積雪があったにも関わらず、雪は驚くほど安定していた。

ローカルに浸かる気分は何よりも最高。長年の友人、ココ・プイギとラモン・ナバロはアメリカからの風来坊たちとなら、いつだって喜んで波をシェアする。

ノーズを落とし、重力という自然の力に身を任せる前に、深く深呼吸をする。ボトムまで続くライン。終わりに近づくと今回のトリップのダイジェストが頭に浮かんでくる。最高のトリップだった証拠だ。ノートラックのスパインを当て、エンドレスなレフトのポイントブレイクを堪能する。このために僕たちは生きているんだ。

神の導きに引き寄せられ、これ以上の幸せはないだろう。

いい波を後にするのはいつだって心惜しい。それでもう腕はパンパンで脚はヘトヘト。フレッシュが降った山が呼んでいる。
チリ名物のスパインラインへとアプローチするため、僕たちはこのキャンプサイトを“予約”した。
1週間じっと身を潜めたその後に、念願のフレッシュスノーが舞い降りた。